障害者権利条約が求めるもの

グランドマーリンの齋藤です。
障害者の権利に関する条約をご存じでしょうか。

障害のある人の尊厳と権利に関する国際的な取り決めで、各国は誠実な遵守が求められます。

2006年12月の国連総会で採択され、日本は2007年に署名、2014年に批准(締結)しています。現在、世界の締結国・地域は、185に広がっています(2022年6月現在)。


実は、国内の取り組み状況に関して国連・障害者権利委員会に対して報告を行い、それに対する所見がフィードバックされることになっています。

日本は、昨年2022年5月に第一次報告を提出、同年8月に審査が行われ、9月に国連・障害者権利委員会から総括所見「日本の第一次報告書に対する最終見解」が示されました。


条約の内容は多岐にわたっていますが、今回の所見のうち就労に関する主な点は、「雇用への移行」と「雇用の質の確保」の大きく2つです。

国連・障害者権利委員会は、これまでも障害のある人が集まって働く福祉的就労の場はインクルーシブの観点から否定的でした。今回も、保護された作業場や雇用関連の福祉サービスに隔離され、低賃金で、開かれた労働市場への移行の機会が制限されていることについて、懸念を示しています。これは、A型やB型事業所のみならず、特例子会社や最近話題の農園型代行ビジネスの課題点を示していると考えられます。

また、障害のある人が著しく低賃金である現状を鑑み、生活できるだけの水準を作るとともに、支援が必要な層については重点的に行えるような仕組み作りを求めています。


日本では、障害のある人の雇用については雇用率がその一つの指標ですが、社会の発展段階の初期段階としてはある程度妥当であったものの、次の段階として、量より質、ディーセントワークで成長が促される働き方へと変化しています。

さらに、将来的にはさまざまな特徴のある人材が包摂される働き方が当たり前の社会に向かおうとしています。


私たちは、働きがい、成長が促される場、そして何より生活を安定的に支えるもの(高賃金)であること、という働くことの本質的な部分を大切に、これからも日々取り組んでいきます。


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